公明党元委員長が見た池田名誉会長
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公明党元委員長 矢野氏
手記 「創価学会名誉会長 池田大作と
究極の演出―本部幹部会

  月に1度、創価学会では本部幹部会というものが開かれる。今思えばあれこそ、氏のカリスマ性を演出する最高の舞台であった。私も昔は党の要職にあるものとして、毎回出席していた。従ってここで述べるのは、あくまで自分が出席していた当時の模様である。
 幹部会は学会本部の創価文化会館5階にある、「広宣会館」という講堂で開かれることが多かった。1200〜1300人は入ろうかという大広間だ。おおぜいが一斉に出入りできるよう、両側の壁は巨大な引き戸となっている。
 中は畳がびっしりと敷き詰められており、出席者はひしめき合うようにして、ここに座る。たいていは胡座だが、正座の人も多い。
 出席者は青年部、婦人部、壮年部、また青年部の下部組織である男子部、女子部、文化本部の下部に位置する芸術部、といった各部局の幹部たち。東京の全域および地方の幹部も出席する。地方には北海道、東北というような各方面の方面長がおり、各県のトップには県長がいる。こうした面々を中心に、各県首脳10人以上が上京している。さすがに遠くの地方の場合は、同じ人間が毎回というのも難しいので、持ち回りの当番制を採っているところも多い。彼らはこれが終わると地元に戻って、県の幹部に報告しなければならない。名誉であると同時に、任務は重大なのである。
 講堂の正面には1段高くなった、白を基調とした大理石製の立派な祭壇・基壇がある。腰板の上はかなりの奥行きがあって、厨子の前にはお供え物が置かれている。お供えは日本酒の1升瓶やミカン、リンゴといった一般的なものだが、ミカンなどはピラミッドのように、うずたかく積み上げられている。
 仏壇に祀られているのは黒塗りの木彫りのご本尊、板曼荼羅だ。我々出席者は、それを見上げるような格好で畳に座ることになる。
 祭壇の下には机があり、鉦が置いてある。お焼香用の黒塗りの香炉もある。この祭壇の前に、最高首脳ら10人弱が出席者のほうを向いて、並んで着席する。畳の上にパイプ椅子が並べて置いてあるのだが、座りきれない副会長らは畳に直接座る。ここはあくまで学会幹部の席だ。私のような党の人間はここに座ることはなく、出席者の側である。政教分離の原則があるためで、私らはたいてい一番前、それもカメラに映らないように、と隅のほうに座るのが常だった。
 さて前面の、会長ら最高首脳部の席だが、実はどこにでもある簡単なパイプ椅子に過ぎない。ただその列の真ん中に、どっかりと大きな革張りの椅子が置いてある。椅子は360度ぐるりと回転できる立派なもので、祭壇のほうも、我々のほうも向くことができる。ここが、池田氏の席である。
 ただし開会時、この席は空席だ。最初から池田氏がここにいることは、まずない。
 会の大まかな流れは次のとおりだ。まず開会前、芸術部に所属するアーティストがピアノを弾いたり、婦人部が合唱したりという演目がある。会の雰囲気を盛り上げる演出に他ならないが、確かにこうした演奏に触れると陶酔したような心地になる。これが30分ほどあって、いよいよ司会者により、
 「ただ今より○月度の本部幹部会を開会します」
との宣言がある。幹部席の前には簡単な演壇が置いてあり、マイクが据えてあって、発言者はそこに立って話をするのだ。
 会のテーマは当然、その時その時によって違うが、たいてい最初は青年部代表による、「○○党の○○というクズ議員は国会でこういうバカな質問をしている」「『週刊○○』が学会に対してこういう悪口を書いている」といった類の話になるのが通例だ。かなり激しい口調で、罵詈雑言になることが多い。悪口オンパレードのアジ演説である。私が退会した直後の本部幹部会では、原田稔・6代会長が私のことを「恩知らず」「臆病」「ウソつき」と非難したり、男子部長が「骨の髄まで腐りはてた大ウソつき」と罵っていたそうだ。もっともたいていの場合、ハッキリ「矢野」と名指しせず、「関西出身の悪党」とか「党の一番悪い奴」といった遠回しの表現が用いられる。いずれにせよこれが宗教家か、と思うほどの悪態の数々である。
 その他には、池田氏がどこそこの国、あるいは大学から勲章や名誉学位をもらった、という克明な報告もある。こうした報告はなぜか、長谷川重夫氏(創価学会現副理事長)が務めるのが常だった。会場からは、万雷の拍手が上がる。外国の偉い人から届いた池田氏宛のメッセージも読み上げられる。「池田先生はなんて偉大なんだ」という想いが会場に充満する。
 こうした次第を経て、会長による今月の活動方針の話がある。私の頃は秋谷栄之助氏(五代会長)だったので、「秋谷会長指導」と称していた。
 池田氏が入室するのは必ず、この会長指導の最中だった。話の途中に決まって、
 「ただ今より池田先生がご入場になります」
と司会の宣言があるのだ。
 とたんに会場はしーんと静まり返る。秋谷氏も話の途中でぴたっと沈黙する。そうして会場やや後方の板戸が開き、池田氏の姿が見えると満場、万雷の拍手である。
 瞬間、この場のすべては池田氏のものに一変する。1000人を超える出席者が全員、氏の一挙手一投足に注目する。もはやそれまでの活動方針など、はるか彼方の無縁のものになってしまうのだ。“池田劇場”“池田独演会”のスタートである。

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