公明党元委員長が見た池田名誉会長
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公明党元委員長 矢野氏
手記 「創価学会名誉会長 池田大作と
贈り物好き

 贈り物のやり取りを介した、会員との結びつきについて触れたが、確かに池田氏は物を贈るのも、贈られるのも大好きである。実際私も、何かにつけて記念品をいただいた。バッジだ、ネクタイピンだといったもので、すべて特注品だ。
 短歌や詩を詠むのが好きな池田氏から玉詠をしたためた原稿用紙や色紙などもよくいただく。全部手書きの場合もあるし、歌の部分だけ印刷ということもある。そして、最後には独特のカギ形の自筆による「大作」のサインと落款が押されていたりする。下の写真の色紙は、私が池田氏からいただいたものだが、やはりこういうものを贈られると、嫌でも厳かな思いに打たれてしまう。しょっちゅう一緒にいた私でさえそうなのだから、初めてもらう地方会員の感激たるや、いかばかりか。まさに家宝扱いなのだ。
 こちらも何かにつけ、口実を見つけては贈り物を届ける。付け届けをしておけば機嫌がいい。しなければ嫌みを言われる、と分かっているからだ。
 池田氏の食の好みは概ね、脂っこいものである。マグロ、中でもトロが大好物。天ぷらやしゃぶしゃぶも大好きだ。そこで一時期は党のほうから毎年、特上のマグロや牛肉を贈っていた。マグロのときは、わざわざ築地で1週間くらい前から予約して用意して、冷凍車2台に積んで運んでもらったのを覚えている。軽井沢の地に学会の長野研修道場があるのだが、毎年夏に池田氏がここに行くので、それに合わせて届けるのである。
 冷凍車2台分だから何トンという量だ。とても1人で食べられる分量ではないが、ケチケチは厳禁である。何より豪快なのが池田氏の好みだ。先生が食べられる量はこれくらいだろう、などと勘案して届けていては、後で散々に罵られてしまう。実際、党からの贈り物には、
 「まったくしょうがねえなあ。こんなに贈ってきやがって」
などと口ではブツブツ言っていたそうだが、内心では喜んでいたはずだ。その証拠に、後から「このたびは立派なマグロを贈ってもらい、ありがとう」という池田氏のメッセージも第一庶務を通して、党のほうにちゃんと届けられる。要は気っ風の見せどころ、なのである。
 研修道場には地方の最高幹部がおおぜい集まっているから、
 「党がこんなもの贈ってきやがった。しょうがねえや。ほら、みんなで食べろ。普段、選挙で応援してやってるんだからな。こんな時、ご馳走になっとかなきゃな」
と分け与える。大量の贈り物を受け取り、それを他の会員に配るのが何より好きなのだ。親分肌の見せどころ、という奴である。だから付け届けをするなら、なるべく豪快に、でなければならない。
 以前は正月の2日には、竹入氏と私や他の党幹部も必ず学会本部に挨拶に行っていた。池田氏は大広間のソファにどっかり座っている。広間には座卓がズラーッと並んでおり、挨拶に来た者がそこに着くと、振り袖姿のお嬢さんがお屠蘇を注いでくれる。
 私たちの顔を見ると池田氏は、
 「おお、来たか。こっちへ来い。ここに座れ」
と横に来るよう招く。これは大変名誉なことである。池田氏の横に座っていると、こちらも旗本になった気分になる。
 次々訪れる客も当然、その姿を見る。
 「ああ、竹入さんと矢野さんが池田先生のおそばに座っている」
 情報はその日のうちに、あっという間に広まる。これが我々の権威付けになる。
 贈り物を持ってきた挨拶客が、それを接遇班の人間に渡すと、そのまま持ち運ばれてずらりと大広間に並べ置かれる。挨拶客が部屋を辞すときには池田氏が客に対して、
 「ああ君、ホレ、そこの羊羹、持って帰りなさい」
と勧める。時には女子部員に、
 「ああ君、彼にそこの一升瓶、あげなさい。ああそれじゃダメだ。そっちの、それだ」
と池田氏自ら、より高級な品を指定することもある。気前のよいことだ。こうなると、たとえ池田氏が買ったものでなくても、もらった側は何か特別なものをいただいたという気分になる。感激して帰途に就くのは言うまでもなかろう。
 余談だが毎年贈っていたマグロや牛肉の贈り物が、国税調査で「政党から個人への利益供与(贈与)ではないか」と問題になったことがあった。
 「いや、みなで分けて食べるので、個人への利益供与には当たりません」
と反論するのだが、確かに送り先はあくまで「池田先生宛」になっている。「学会のみなさま宛」などと言って届けると不機嫌になるから、そう書くしかないのだが、国税にはなかなか納得してもらえず困り果てた覚えがある。




 
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